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mRNAワクチン―イミテーションゴールドなのか―


 COVID-19に対する切り札としてmRNAワクチンは華々しく登場した。欧米各国では競うようにワクチン接種が開始された。わが国では日本人での追加の臨床試験を行ったためワクチンの認可が遅れ、欧米から約2か月遅れでワクチン接種が開始された。mRNAワクチンは新型コロナウイルスの表面にあるスパイク蛋白の遺伝子(mRNA)を筋肉に注射することで、スパイク蛋白を筋肉細胞表面に発現させて体内に抗体を作らせるワクチンである。発熱、筋肉痛などの副作用についてはmRNAワクチン自体に強い炎症惹起性があることが一因と考えられていた。最近になりmRNAワクチンから作られるスパイク蛋白が血管内皮障害を起こし、血栓形成をきたす可能性があることや、繰り返すワクチン接種で免疫を抑制する免疫グロブリンIgG4が増加するため感染予防効果が弱まる可能性があるという研究成果1)が海外から報告された。また、新型コロナウイルスがオミクロン系統に置き換わり、免疫逃避を生じワクチン効果がさらに減少していることが報告されている。欧米では副作用や感染予防効果に対する疑問からワクチン接種は3回目で留まっている一方、日本だけが6回目まで追加接種を伸ばしている。しかしながら、国内第7波と第8波において、世界最多の感染者数と死亡者数を記録している。mRNAワクチンは既にその役割を終えたのか、それともまだCOVID-19を乗り切るための有効な手段なのか、国に更なる慎重な議論を求めたい。 
文献1)
IgG4 Antibodies Induced by Repeated Vaccination May Generate
Immune Tolerance to the SARS-CoV-2 Spike Protein.
Vaccines 202311(5), 991; https://doi.org/10.3390/vaccines11050991